created: 2024-02-22T07:29:55.959Z
少年老い易く学成り難し
少年老い易く学成り難し(しょうねんおいやすくがくなりがたし)とは、若いうちはまだ先があると思って勉強に必死になれないが、すぐに年月が過ぎて年をとり、何も学べないで終わってしまう、だから若いうちから勉学に励まなければならない、という意味のことわざである。
中年男性になるとこの言葉が 1 か月に 1 回くらいのペースで刺さるようになる。刺してくる主体はさまざまですごい優秀な新卒インターンだったり、バカだと思ってたユーチューバーが CPU の最適化に詳しかったときとか、とにかくことあるごとに刺さってそのたびに人生について考えてしまい意味もないのに寂しい気持ちになったりする。
学問には「熱意」や「好奇心」といったものは当然前提として必要なのだが、「必要性」というものも大事だと思う。学生時代は勉強が本分であるので不要な知識にも必要性が付与される。ズルい。社会人になると忙しいので不要な勉強は不要なままである。
社会人でも「すぐには役立たないけど未来のために勉強するぞ」という人もいるが、本当に必要がないことを長続きしている人は少ない。同業者でも「言語処理系に詳しくなりたい」とか「数学/圏論を勉強しておきたい」みたいなことをよく見るが、まったく必要がないものをやりきっている例はあまり見たことがない。
しかし「機械学習システムをつくるために関連する数学を押さえておこう」みたいな感じで、自分で必要性を付与している人は勉強が長続きしたり転職で身を結んだりするケースは見かける(見かけた)。
「必要性」というとなんだか現金で夢のない話になってしまうので「気圧や水圧のように常に全方向から圧力がかかっている状態」というふうに言い換えてみる。留学をすると語学が堪能になるけど、これは生活のすべて寝ても覚めても「英語を勉強しろや」という圧力がかかっているからである。
生活のすべてで圧力を受けるようなトピックはなかなかないけど「仕事で SQL やら TypeScript は触るし集合論くらいは単語帳をつくっておこうか」というふうに、すでにある圧力をうまく使って自分に勉強させるというのが中年男性の残り少ない人生を輝かせる方法ではなかろうか。
「少年老い易く」と「学成り難し」が仮に順接で論理的につながってるなら対偶を取ることができる。「学なり易し(即ち)少年老い難く」となる。「勉強が簡単にできたら老いさらばえずにいられる」みたいな意味にも読めるので学をつけてもうちょっとコンテンツフルな人生を送りたいなと思う。